会社の通用門から入った正面に桜の木が植えられている。
まだてっぺんのほうの花は咲いていない。
普段事務処理をする机が置かれているところは、
二階であるため、桜の木を上から見下ろしている。
日曜日に一気に花開いた桜が、今日明日にでも満開になろうとしている。
もっともこれから雨が降るらしいけど。
桜は過去の記憶を呼び覚ます。
常に、自分がいたところのどこかに、桜があった。
この桜を見るのが、もうすぐ4回目になる。
去年は3回目だったのか。
よくよく考えればあたりまえのことなのだが。
年を取るにつれ、だんだん、時が経つことがそれほど大きな意味を持たなくなってきた。
うん?そうではない気もするのは。
そうか。
社会人としての俺は、そんなに去年、
あるいは一昨年と変わっていない。
もちろん仕事は変わっているのだけど。
周囲の人たちとの関わりが、そんなに変わっていない。
が、会社を離れた自分はどうだ、と思う。
それはずいぶん変わった。
多くの人と知り合い、話してきた。
うん。