王国への道

読了。
一回、わーっと粗筋を追ってしまったため、二回目も読んだ。

1620年から1630年くらいの物語。

先に読んでいた韃靼疾風録と同じ、江戸幕府が成立し、鎖国する時代の物語。

改めて思うのは、日本が鎖国してなかったら、果たしてどんな歴史になっただろうか、と言うことではあるけど。
やはり独自の文化の発展も無かったのだろう。

鎖国により、長期の安定した政治があり、穏やかな閉鎖的な経済が発達した。

現在はともかく、タイは国王が君臨する王国であった。
数百年に渡って国王制が存続していてそれが独自の文化を作ってはいたのだけど。
地続きの国々から何度も侵略戦争を受け、あるいは攻め入り。

その後、大航海時代にヨーロッパ勢力が押し寄せても、自国の統治そのものは維持し、第二次世界大戦最中も独立した国家として今に至る国。

そんな国の中に残る日本人の名前。

現在の飛行機で6時間。
当時は九州から帆船で中国南端のマカオに渡り、そこからインドシナ半島を越えて、バンコクに至って。
さらにチャオプラヤ川(非タイ圏での通称はメナム川)を遡って。

先のタイ旅行の際には、山田長政の名前は知らなかった。
アユタヤ旅行して、現地の歴史をあれこれ教わって、日本人が関わっていた一時期があったと知る。

タイ王朝の政権交代期、そして日本の戦国時代の終わりと江戸幕府成立の狭間。

凄いタイミングだ。

ストーリーは若い藤蔵が知略を巡らせて山田長政と言う武人に立身出世したが、自身の謀略の結果としての復讐に会い、命を落とすまでのストーリー。

これ、自身の部下に裏切られ、その後に身内と思っていた相手から毒殺されるのだけど。
裏切りの方は、なんとか生き延びてるのだよな。
毒さえなければ、きっと盛り返しただろう。

情緒的な記述はそんなになく、人物像はあっさりした感を受ける。

もうちょっと長編で、細かく描写されていても良かったな。

当時のアユタヤの光景はどうだったのだろう。
文字を追いながらも、浮かぶのは現在のアユタヤの開けた風景。
破壊を受ける前、たくさんの塔や寺院の立ち並ぶ風景はもはや想像も出来ず。

知り合いのタイの若い人に聞いた際には、山田長政は知らないとことだった。
タイでの映画も作られてはいたはずだが、タイ人の歴史観念はどうなのだろう。

彼らの国の歴史は王政の歴史。
不敬罪もあり、王たちの人生が絡む歴史の解釈は外国人とは違うのだろう。

娯楽性の高い、日本史や中国史とは違うような気もするが、なかなか読み物はないのだよね。

さて、次の本だな。
この時代のアジアの本が読みたいぞ。

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