昨日の国立西洋美術館は毎月第二日曜日の無料観覧日での鑑賞。
1年前にも無料観覧日で来ていたのだけど、さすがに観たものは忘れていた。
展示コーナーは1500年代の宗教絵画から始まって19世紀印象派まで展示されているのだけど。
1500年代〜1600年代の絵画は宗教モチーフであっても、風景画であっても、観ていて不安を覚える。
道路は舗装されておらず、人々の服装は皮か麻か。
シャワーはもちろんなく、トイレの概念もまだなくて、都市部では2階から汚物を投げ捨てていたのだっけ。
当時、戦国末期から江戸時代始め、日本では排せつ物を肥料に使用するため肥溜めはもう合っただろうか。
連作障害の生じない水田に比べて、ヨーロッパではまだノーフォーク農法の始まっていない。
それでも、未開拓の荒野が延々と広がっていたのだろうか。
そんな遠い遠い時代背景に怖さを覚える。
そして印象派の展示で1800年代に来ると、大航海時代を過ぎて植民地が形成されていた頃。
まだ未発達とはいえ、都市文化が芽生えて、物流が国を超えて人々の生活がもう少し想像しやすくなる時代。
この時代の絵画には安心させられる。
少なくとも、1600年代よりも生きることに余裕がある。
生活圏が広がっている。
さらに産業革命を目前に社会が変革していこうとしていた時代。

等々、歴史的なことを考えつつ。
印象派の点描画は実物を目の前にするとその技法に圧倒される。
立体的な油絵の具の盛り付けに、どうやったらこんな技法にたどり着けるのかと考えさせられる。

現在、中学生や高校生くらいの若い人が驚くほど精緻だったりダイナミックだったりする絵を描いていたりするのを目にする。
歴史的な絵画を描いていた人たちがたどり着くまでの時間を今どきの才能ある人たちは駆け足で辿り着いているのではないだろうか。
などなど。
たまには美術館行くのも悪くない。