ベアリングの潤滑剤に関して、雑記。
オイルとグリスの区別は、
厳密に言えば化学構造が違うんだけど、
粘性の高いドロッとしたものをグリス、
さらっとしたものをオイルと区別しているようだ。
因に原義の”グリス”は、
グリセロールの脂肪酸エステルを差しているんじゃないかと思う。
そう、
”健康エコナ”=トリアセチルグリセロールは、
グリスである。
これって、
マヨネーズとかマーガリンとかいろいろ入ってるらしい。
話がずれた。
ベアリングの洗浄中に、
やたらとベアリングを回るのを体験したことがある人は多い。
ベアリングの潤滑剤に関して、
高速で回る、
とは、
ベアリングの外壁とボールの金属間の摩擦抵抗が、
潤滑剤により低減され、より少い力で回る、と言うことである。
この高速回転のためには、潤滑剤自体の運動性が高い、
つまり粘度が低い、
さらさらしていればいる程、
良く回ることとなる。
さらさらしているオイルとは、
低分子量な物であることが多い。
したがって、石油製品のうち、低分子量な成分、
ガソリンとか灯油とかは非常に粘性が低く、
潤滑剤としては高性能である、
ように思える。
しかしこれらの低分子量成分は、非常に低沸点である。
C6H14で表されるもので、70℃くらい、
C8H18で表されるもので、90℃から百℃くらい、
だったか。
このぐらいの低沸点な物は、
ベアリングが回転による摩擦で熱を持って来た場合、
気化してしまう。
結果としてベアリング内部のオイル分が無くなり、
ベアリングが摩擦によって音がし始めたり、
抵抗が増えて重く感じるようになる。
このため、単純なオイルではベアリングに用いられるものは、
比較的高沸点な、
高分子量で、
そのため粘性の高いものが用いられている。
単純な石油製品では、高分子量とは、分子の長さが長いことであり、
このため粘性が上がる。
それに対し、分子の長さを短くし、
一個の分子の重さを増やすと言う発想が出来る。
一つはCxFyHzで表される、分子中にフッ素を含む分子である。
“フルオロ〜“と呼ばれる事の多いこれらのオイルは、
単純石油製品の水素原子を、より重いフッ素原子に置換したものである。
これらフッ化物は低分子量で、低粘性を維持しながら、高沸点であるため、
潤滑剤として有利である、
ようである。
ただ、CFの化学結合が非常に強固であること、
また、仮に生体に入ったとしても、生体内で分解されないで、
そのままの形で維持されて仕舞う。
確か燃えにくかったような気もするが、
忘れた。
もう一つ、高分子量化の方法として、
主鎖である炭素Cを、
ケイ素Siとしたオイルが有る。
“シリコン〜“と呼ばれるこれらのオイルは、
“フルオロ〜“と同様の理由で、
低粘性でも高沸点である。
“フルオロ〜“と比べると、多分化学的には弱い。
熱には強かったような。
180℃とか250℃とか、
普通に持っていたような気がする。
化学的には安定に。
もちろん沸騰しちゃったけど。
酸には強く、アルカリには弱い。
燃焼、つまりベアリング中で空気により酸化された場合、
SiO2となる。
えーと、ガラスや土の主成分と一緒。
このためシリコンオイル分解物は固体で、
多分空気中の水分とかで凝集して、ネバッとなる、ような気がする。
生体系での分解はされない。
多分自然酸化か、自然の塩基で分解されれば土に帰る、かな。
と、言うわけで、結論。
一番良く回るベアリングの潤滑剤とは、
5分に1回、灯油やガソリンを補充しているベアリングである。
とか書いて、
本気にして、
短距離用なら良いか、
とかいって灯油を潤滑剤にしている人がいたら怖いな。
多分、自然発火します。
燃えよベアリング、吼えろウィール!
オイルとグリスに関して
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