本気です、かぁ

闇練していたときのことである。
二人の男が近よって来た。
ヤバいかなって思ったのだが、“スイマセーン“と声を掛けて来た。
見ればちょっと悪っぽい感じの雰囲気。
一人は上下ジャージだったし。
”この辺でスケボーやってるヤツ知ってます?”
あそことここでやってるよ、と言うと、
実は、ジャンプ台とレールを持ってかれちゃったんだと言う。
”俺たち本気でスケボーやってて、
金出して作ったのに、持ってかれちゃってて探してるんですよ”
ちゃんと話してくれたので、
ちょっと好感を持った。
で一緒に公園内を歩いて見て、
探しとくよ、と伝えて別れた。
本気でやってる、か。
ちょっと厳しい言葉だな。
人を納得させるには。
18歳だと言う。
あちこちのイベントにも出ている。人と競うのが楽しいんだ、と。
何だ、ほんとにちゃんとやってるんだ。
普段どこでやってるの、と聞くと、そこの路地裏だと言う。
本気でやっている、か。
何が、”本気”なのだろう。
それが一番難しい。
たとえば、
本名ではない、滑べり止めの大学に受検、
合格して、余り楽しくないけど、大学生やってる18歳。
別にやりたかったわけじゃないけど、
それなりに単位取って、
理系だったのでそれなりの専門知識持って、将来的に専門職に就いた。
そう言う人間は世間に認められるんだろうな。
でも本気でやってたわけじゃない。
なんとなく。
成り行きで。
違うな。
認められるとか認められないとか、
そう言うことはどうでも良いんだろうな。
当人に取っては。
が、18歳。
周囲は放っておいてくれないだろう。
”本気でやってます”、は周囲を納得させられるか。
他のメジャースポーツならともかく。
野球、サッカー、テニス、何でも良い。
世間でテレビ中継されるようなスポーツだったら。
ほんの少し話しただけなんだけど、
ちょっと好意を感じて、
ちょっと淋しくなった。
頑張れー。おじさんは応援しているぞー。

12月28日

2003年もぼちぼち終わりか。
今年も、なんだかいろいろあったな。
過ぎてしまった今では、当り前になってしまったこともあるが。
年明けから、3月末。
前年、仕事中に負った額と右まぶたの上の火傷はまだ目立っていた。
人と話すのに、顔を見られたくなかった。
それは5月頃になって、多少日焼けして、
目立たなくなって、ようやく解消した。
スキーシーズン終えて、妹の結婚式。
大丈夫だろうか、とこっちが心配していた。
その前の週から道満へ参加。
そこから後は道満の記憶が濃い。
と、言うより仕事がどうしたとか、
あんまり覚えていない。
祖父が入院し、梅雨が終わり、夏が開けるころに、
親父が倒れ、母が交通事故を起こした。
この頃、もしかしてうちって呪われてる?
とか、ちょこっとまじで考えた。
結局祖父は9月に他界し、
今年二度目の礼服は祖父のために着ることとなった。
最後まで、叔父や母の、
そして孫である俺たちの幸福を願い、
自身は何も望まなかった祖父。
母は、もう少し遊ばせてやりたかった、
温泉とかつれて行きたかった、と悲しんだ。
俺は、何もできなかった。
何もしなかった。
年に数回実家に帰った時、
ほんの数時間祖父と話をして、また戻って来てしまっていた。
もし、祖父と共に土を耕し、海に通って生きていたなら、
それが最高の恩返しであったのだろうが。
10月光ヶ丘、そして11月幕張とインラインスケート関係のイベント。
10月の光が丘はインラインをやって来て、
初めてのイベント参加であった。
思い知る、自身のイベント弱さ。
意識は真っ白になり、何をやったかすらまともに覚えちゃいない。
後で、そのときの映像を見て、
その余りのひどさに自分の実力を思い知る。
そしてイベントに強くなりたいと思う。
そのことが、折しも持ちあがった、11月の幕張への参加を決めさせた。
11月、幕張。
ルーチン、と言うものの必要性を実感した。
繰り返し練習した事しか、緊張する場面では出せない。
その時には自分のルーチンなんて、形になってなかった。
甘さを思い知る。
そして、もっとインラインスケートに付いて、
滑べることに付いて、より多くの時間を割いて考えるようになった。
12月。
考えが煮詰まって来て、
段々滑べることから逃げ出したくなって来ていた。
でも止めなかった。
自分が出会った多くの人達と、
これからも係わっていたい、と言う気持が強くなった。
来年はもっと多くの人と出会うことだろう。
中にはお別れを言う人が出て来るのかもしれない。
それでも俺は、もっと沢山の人と出会いたい、話がしたいと思う。
いい年にしよう。

12月27日

大掃除をやる前日、新しい掃除機を買った。
これまで使っていた掃除機は実家から持って来たものであったが、
80年代に作られた、もう骨董品のようなものであった。
それでも動いていたから、特に気にすることも無く使って来たが、
最近数ヵ月、スィッチを入れても電気が入らないことが増えて来た。
それでもケーブルをいじっていると、
動き出すので、まぁまぁ使っていたのだが。
せっかくの大掃除。
せっかくなので、掃除機を購入した。
新しい掃除機は”サイクロン式”である。
吸い取られたゴミが中でクルクルと渦を巻くのが、
透明なケースの外から見ることができる。
これは、楽しい。
最初気付かずに、まずはコタツをどけた、
敷布の上を何気なく掃除機かけていた。
ふと本体を見ると、びっくりする程の塵が溜っている。
塵は数回クルクルと回ると、やがて一固まりとなり、
その固まりが段々成長していく。
ほんの畳一畳分のスペースを掃除機掛けただけなのに、
ちょっとしたピンポン玉大になった。
こんなに埃ってあったんだ。
確かにここ数週間、ちゃんと掃除してなかったけど。
ケースを開けて、塵玉を捨てる。
はまった。
掃除機を掛けては塵を貯めて、ある程度大きくなったら、捨てる。
確かに大掃除のつもりではあったのだけど、
結局丸一日、掃除に明けくれてしまった。
でも、掃除するの、楽しくなったかも。