子会社

技術顧問に任命された。
ほとんど休止していた会社。
お金は有るが、何も動いていない。
この間の人事異動で、
営業から研究開発部に戻って来て、
サブリーダーになった先輩がやっていたポジション。
先輩がやっていて何も出来なかったのだから、
俺が成ったところで何も出来ないのかも知れない。
おなじく、先の人事異動で本社配属になって、
今は暇している(と、自分で言っていた)元研究開発部部長さんが、
何か肩書きが付いて、おなじく役職に付いた。
任命後は、軽く雑談。本当に雑談。
このまま終るのも何だなーと、取り敢えず提案。
“新製品開発しませんか?”
うん。今後話し合って行こう、とその場は終了。
お食事会。お酒が出る。
雑談。会社の話し。
時々マジメな話し。
元は商社だったと言う。
うちにはもう一つ本筋の、
うちの本業と同じ系列の仕事の商社が有り、
こっちの会社はそれとは別の発想で運営されていたそうだ。
以前は。
何だ。そう言う環境が有ったんだ。
今は。
オーナーの御曹子の、
帝王学を学ぶための場所になってしまったと、
元部長さんが言う。
その御曹子、年は俺より一つ上。
へー。そう言う人っているんだねー。
さーて。どうすっか。
帰りの電車の中、元部長さんと話す。
○○さん、何がしたいですか?
“今は営業もいないしね。まずは営業の人間を集めて、
商社的に動かして行こうかな。”
そうだな。
まずは人間を、動く人を集めなきゃ。
そしたら、次は?
うーん。
うん。
名刺かな。
”○○会社技術顧問”と書かれた俺の名刺を作ること、かな。
何かやれそうな、何もしなければ、何も出来なさそうな。
ただ、悪くは無いかな。
新しい遊び場を与えられた子ども、って気分。
仕事、しますか。