電柱を触った手は洗ってね

すっかり昏くなった夜道、家路を急ぐ。
角を曲ったところで、ふらつく自転車に驚き、足を止める。
ライトを点けていなかった。
その自転車に乗っていたのは、OL風の女性。スーツ姿にパンプス。
俺のことなど意に留めること無く、
交叉点にさしかかって、ブレーキを掛けてスピードを落した。
停止。
そもそもそれほど早いスピードではなかったのだが。
足はペダルに置いたまま、
片手を電柱に掛けて体を、
自転車を倒れないように支えて、信号が変るのを待っていた。
通り過ぎるところで見ると、その姿勢で、
電柱に掛けた左手だけでなく、
ハンドルを抑えている手首にも非常に力が掛かってる。
腕全体でハンドルを押さえこんでる、そんな腕の曲り工合。
足が届かないのだ。
サドルを高く設定してある。
なんで?
それはスタイルなのか。
まぁ、どうでも良いことだ。
だって、ぶつかられなかったのだから。

宇宙へ

中国初の有人宇宙船
その昔、のことである。
実は本気で宇宙飛行士に応募しようかと迷ったことがある。
たまたま見たポスターで、NASDAが宇宙飛行士を募集していた。
募集の規定は、
自然化学系の4年制大学の卒業生であり、
3年間の実務経験、
そして不自由の無い英会話能力であった。
もちろん英語力としては議論も可能なぐらいでなくてはいけなかった。
結局一番のネックはそこだった。
で、結局は辞めちゃったんだけど。
出願をね。
なにしろ一次審査=ペーパーテストから二次審査まで2、3箇月の期間があって、
面接審査、そして実技審査と続いて行く。
仮に一次審査が通ったとしても暫くはプーである。
一次審査くらいは受かる気持ちでいるところが図々しい。
そのポスターの前を通る度にウガァ、と思いながら、
逡巡に逡巡を重ね、ウダウダウダウダ、
結局は踏み出すこと無く、普通に就職した。
きっと周囲は止めただろうなぁ。
そう、想像はしたけど。
あぁ、実行しなかったことをどうこう言っても仕方が無い。
中国が自力で、独自技術で人間を宇宙に挙げた。
当然アメリカとかロシアとか、それなりの政治的な妨害があったのかも知れない。
だって、宇宙技術はそのままミサイル技術になる。
日本がH2ロケットを作ったときに、
元にしたアメリカのロケットの設計図にはエンジン部が描かれていなかったように(byプロジェクトX)。
なんとなく稚拙な技術だな、と言うような印象は受ける。
でもきっと安全面は確保されていたんだろう。
想像できる範囲で。
中国の安全に対する意識は高いと聞く。
ある鉱山で、非常時に用いる防毒マスクの数は、
実労働人員の3倍用意されているのだとか。
そんな起こるかどうか判らない災害に対して。
現地で日本人技術者が驚いていたそうだ。
それに対し、当時の日本の防毒マスクの整備は実労働人員の半数。
約束されていた帰還。
それなのに。
砂漠に着陸した宇宙船から降りて来た宇宙飛行士の映像は、
何か胸に響くものがあった。
人が月に行っていた時代を俺は知らない。
この先、いつ人が月に、そして火星に行くのか、俺は知らない。
だが、何時の日かそれをやってくれるのが、中国であるかも知れない。
なんかちょっと応援気分。
50才くらいには月に観光旅行に行きたいな。
一つ、よろしく。

チリチリした心の理由

大学の研究室時代の後輩に久々にメール。
色々と、その後の話を聞く。
色々って言うか。
後輩達の多くが今年結婚するんだよ、って話だったんだが。
一組は助手さんと(元)学生さん。
もう一組は(元)学生さん同士、先輩後輩関係だった二人。
おめでたいな、と思いつつ。
うーん。
大学の研究室、特に化学系では徒弟制で卒業研究生、大学4年生の面倒を大学院生が見る、
と言うパターンが多い。
卒業研究は一年間で終るわけだが、その間先輩として苦楽を共にする。
そこで人間関係終らせないで、ずっと続けていたんだ。
うらやましくないって言えば嘘になるかな。
あー。
でもなぁ。
当然結婚式には教授呼ばなきゃ行けないわけだ。
いや、呼ぶか、普通は。
単に俺が教授と仲悪かっただけのこと。
仲悪かったって言うか。
好きじゃなかったって言うか。
卒業して随分経つ。
一度だけ就職してから会いに行ったけど。
部長さんと、同じ大学出身の先輩と一緒に。
その頃にはすっかり大人としてのたしなみが身についていたな。
話し合わせて、あははと笑って。
ただ、早く帰りたかった。
あそこに俺の居場所は、あったんだろうか。
教授を頂点に掲げた村組織。
いや、そんなふうに書くのは間違いだろう。
ただ俺だけが浮いていたのだから。
目的は果たした。
そして、空っぽだった。どうでも良かった。
今日、中途採用の面接。
部長さんの机の上に置かれた履歴書。
同い年の人が一人。
おお、見事な経歴だ。
科学技術振興財団での研究、その後、共同研究で数年。
任期切れに伴っての就職活動。
春の学会発表を経歴として書くのはどうかとは思うが。
何かチリチリする。
俺はそんな生き方がしたかったんじゃない?
研究者でありたかったんじゃないのか。
研究者?
研究なら今だってしてるだろう。
製品開発のための研究。
ただ、何か違うんだけどな。
論文書いたりしたいのか?
冗談。
そんな面倒なことしたくないよ。
ただ、遠い目標に向かってガムシャラであった頃の自分がちょっと懐かしい。
今そうじゃないのか?
あー。
あー。
忘れてたよ。
今の俺と当時の俺では目的が違う。目標が違う。
そしてやるべき事も違う。
今だって結構必死じゃん。
なんだ。
ただ、今、居心地の良い世界にいる。
そういうこと。
行為そのものを楽しんでいる。
あ?俺の目標?
うーん、取りあえず幸せな家庭を作ること。
まずその前に相手探しからだけどな。

ドップ?

家で使ってるのはトラックボール。
知ってる?
マウスのボールが上に付いているヤツ。
そのボールを指先で転がして、マウスカーソルを動かすんだけど。
マウスって、使わない。
結構面倒。
会社のPCはノートなんだけど、皆は支給されたマウスを本体の脇に置いている。
邪魔じゃない?
本体に付いているトラックパッドで充分なんだけどな。
新形マウス。
ドップ?
誰か買って。
でも光学式は欲しいな。
しょっちゅう分解掃除してるものな。

ときめきメモリアル

ときめきメモリアル。
ウワァァァ、俺の漢字変換、一発で変換しやがった。
辞書登録されてるんだ。
これって、やっぱり辞書作った人間が登録したんだよね。
少くとも俺じゃない、と思う。
ああ。cannaってやっぱそっち系の人が作ってるんだ。
どっち系だよ。
それはさておき。
名前だけは聞いていて、やった事は無かったこのゲーム。
別に買ってやりたい気もしないし、貸してくれる、と言う人も。
それはいたかな。
まぁ、一時期結構話題だった、と思うんだけど、その時はスルーしてしまって。
で、たまたまやったと言うか見ていた機会があったので感想など。
ゲームの目的は、何だっけ。女の子とデートして仲良くなること。
それが何でこんなにも流行ったんだろう。
出て来る女の子か。
現実世界では絶対あり得ない。
非常に男性的支点から描かれ、誇張された女の子、だからか。
でも一緒に見ていた女性陣からも可愛いと声が上がっていたから、そういう部分はそうなのか。
そういう女の子の反応がゲーム内でのリアクションに応じて変って来る、
それで感情移入して行く、と。
でも、女の子同士でお互いに会話までしなくたって、噂を聞いたりしているだろうから、
今週はあの子、来集はまた別の子ってデートしていたら、普通ひくだろうに。
ま、そういうのは置いといて。ゲームだから。
面白かったのは、男性側から見た、男性に取って、
いて欲しい、こうあって欲しい設定の女の子がそこにいるって事か。
取りあえず見たのは3人。
その1、幼なじみ設定。
でも向うは知ってるけど、こっちは全然知らない。
どこを取っても普通。
秀でている部分も劣っている部分も無くて、仕草は幼く、そう、ひたすら可愛い。
友達ポジション。
なんて言うか。
背伸びしなくて良いって言う感じ。
一緒にいたら楽だろうなって。
言いかえれば努力しなくても良さそうなんじゃないかって、
ダメ?
普通に幸せに生きるんだろうな。
きっと。
何か変なこと書いてますか。
ええ、書いてます。
その2。
その対局で精いっぱい背伸びが必要そうなお嬢様設定。
趣味は芸術だって。
そもそも芸術を語る時点で胡散臭さ満載なんだけど。
お前それ本当に判ってるのか、あぁ?
本で呼んだ受売りじゃないのか?
いやゲームだから。
演劇部所属で、招来は女優志望で、ご両親がお金持ちだとか。
デートにはスーツで来ないと行けない、と。
運動に意味を見出せず、体育祭を時間の無駄、と。
プロ野球見ては、汗と埃は嫌い、とか。
でもこの子と一番親しくなっていたためか、
表情がしだいに笑顔が多くなって来る様は、
やってる方に、行けるんじゃない、いい感じなんじゃない、と期待させた。
その3。
体育会系少女。
合気道部所属で、朝走ってたら声をかけて来た。
“良い朝ですね。こんな日はすがすがしく過ごせますね。“
とか、なんとか。
世の中で一番胡散臭いのは、
こういう何の当たり障りの無い、無難な挨拶をして来る人間なんだが。
たいてい次は、
“手相見せて下さい“、とか、
“知ってますか?この世界は…“、とか。
でもそれ以外の部分ではこの子が一番まともそうだった。
違うか。
あんまり話したりしてないから、性質が現われて無いだけか。
あとは。
いきなり英語で話しかけて来て自己紹介もせずに去って行った女の子。
それと自分をカメラで隠し撮りしていた女の子、と。
もうなんか、何書いているか判んなくなっていたので、まとめ。
何が楽しいって、感情移入しないでゲームやってるテレビ画面にツッコミ入れてる自分が楽しい。
俺ってこんな厭な大人だったんだって。
自覚できる。
はぁ。