幸い、取り返せましたが。
久しぶりの王子は飛鳥山。
階段トレ。
これまで公園内で着替えて、着替えや通勤用の鞄と言った荷物は走ってる階段の途中のベンチの上に置いていた。
いつもの、人通りの少ない階段。
上り下り15往復。
一本目、合計22分30秒。
1分30秒平均、ダレて1分34があった。
体が熱い!
2本目、やはり15往復のつもりでスタートして、すぐにカップルとすれ違った。
階段を戻ってきたら、自分の荷物を置いてあるベンチのところにいた。
しばらくそのまま数本続けていて、階段の中盤に来たらカップルがいなくなり、荷物がなくなっていた。
そういえば高笑いしているのが聞こえていた。
その場所からは複数の道がある。
しばらく迷ったが、階段の上の方へ向かった。
階段上がって、どっちだと見渡す。
一番明るいところに二人連れの姿が見えた。
ダッシュする。
近づいて、明らかに自分の鞄と分かった。
悠然と歩く彼らに近づきながら、場合によっては暴力を振るうこともあるのか、と考えていた。
声をかける。
そこの二人、それは俺の荷物だ。返してもらえないかな。
我ながら平易な口調。
忘れ物かと思ってました。
女の子の方が言った。
鞄二つを受け取り、鞄の中を確かめようとしたら、
これも、と男の方がケースに入ったままのモバイルなパソコンを手渡して来た。
顔を見る。
10代くらいだろうか。
何の表情もない。
キンモー。
悪気はなかった、とかそんな感じ。
そう、それは彼らに取って何の悪意もないことなんだろう。
たまたま、オッサンがハアハア言いながら走っていて、その荷物がそこに置いてあった。
持って行く事にリスクも考えなかったのだろう。
犯罪?何それ?
取り返しに来る事も想像していなかったのだろう。
駆け足の音に、振り向こうともしなかったのだから。
が、中身は見聞し、何らかの電子機器っぽいものは先に取り出していた。
そこそこ高価っぽいから。
今思い出してもすっきりしない。
何故なら、彼らはこちらを人としては接していないから。
キンモー。
鞄を取り戻して、その後。
ストップウォッチは止めていなかった。
15本の残りを続けた。
俺もどうかしている。
あんな連中に自分の運動を中止されるのが気持ち良くなかった?
いや、そうじゃない。
起こった出来事に動揺して、運動を続ける事で落ち着こうとしたのだろう。
でもまあ、こういう事はあり得る。
たまたま、これまで回避出来ていただけ。
夜の公園なんてバカがいてもおかしくないのだから。
改めて、駅のロッカーの場所を確認してしまった。
ああ、それにしても。
一発、ガツンとやっておけば良かった。
多少気持ちも晴れたろうに。
鞄盗まれかける
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